2012年8月6日月曜日

asahi shohyo 書評

ルポ 子どもの貧困連鎖 [著]保坂 渉、池谷孝司

[文]森下香枝  [掲載]2012年08月10日

表紙画像 著者:保坂渉、池谷孝司  出版社:光文社 価格:¥ 1,680

 ユニセフ(国連児童基金)が今年発表した18歳未満の子どもの貧困率で、日本は14.9%。先進35カ国中、下位から9番目だった。2月には東京・立川市で母が病死、子が衰弱死する「孤独死事件」があった。
 民主党政権になり子ども手当がばらまかれたが、本書で描かれている、親に経済力がなく社会から取り残された子どもたちの壮絶な貧困を目の当たりにすれば、何の効果もなかったことが改めてよく理解できる。
  オブラートを食べておなかを膨らませ飢えをしのぐ少女、親が国民健康保険料を滞納しているため病気なのに病院に行けず、慌てて友達の保険証を借りる少 女……。 抜き差しならぬ、目をそらしたくなるような鉛のように重たい課題がこれでもかと書き込まれているが、われわれ大人は本書を単なる傍観者として読 むのではなく、よく見れば身近にいるこうした子どもたちを救うため、自分はささやかでも何かできるのではないか?と、もがき、行動しながら、解決策を考え ていくべきだろう。

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ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追って

著者:保坂渉、池谷孝司/ 出版社:光文社/ 価格:¥1,680/ 発売時期: 2012年05月

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