死別の悲しみに絵と言葉で勇気 英の詩が本に
[掲載]2012年08月08日
〈死はなんでもないものです/私はただ/となりの部屋にそっと移っただけ〉
19世紀生まれのイギリスの神学者ヘンリー・スコット・ホラ ンドによって100年ほど前に書かれた詩の冒頭だ。「Death is nothing at all」で始まる24行の詩を日本語訳したものが1冊の本 になった。題名は「さよならのあとで」。本を出したのは一人で出版社を営む夏葉社(東京)の島田潤一郎さん(36)だ。
島田さんは4年前、親友だったいとこを事故で亡くした。悲しみに沈んでいた時、自殺で子どもを失った親たちの手記に収められたこの詩に出あう。死の別れがあってもこれまでの関係はなくならない、と勇気づける詩。息子を亡くした男性が匿名で訳したものだった。
島田さんは2年半かけて本を仕上げた。1ページに刻まれるのは多くても数行で、余白がたっぷり。素朴なモノクロの絵が挟みこまれ、本から祈りがじんわり伝わってくる。挿絵は絵本「りすでんわ」で知られるイラストレーター高橋和枝さん。
「何度も読み返してもらえる本であったらうれしい」と島田さんはいう。税抜き1300円。夏葉社(0422・20・0480)。本のために描かれた原画の 展覧会が8月10日から9月30日まで、兵庫県姫路市本町の古書店「おひさまゆうびん舎」(079・288・6597)で開かれる。
この記事に関する関連書籍
著者:ヘンリー・スコット・ホランド、高橋和枝/ 出版社:夏葉社/ 価格:¥1,365/ 発売時期: 2012年01月
0 件のコメント:
コメントを投稿