ミステリー感覚で上総の国府所在地を探る
[掲載]2012年08月18日
千葉県市原市にあったことは間違いないものの、場所が特定できない上総の国府所在地はどこ? 同市に住む児童文学作家・たからしげるさんが、市原の古代に迫る「まぼろしの上総国府を探して」を出版した。
たからさんが、16年前に新聞に連載した、国府を探す記事の取材過程を振り返り、謎の多い国府の所在地探しが、もう一歩のところまできていることをまとめた内容。
取材の工夫や、関係しそうな現場を訪ねる作業は、地道に発掘調査を続ける考古学の仕事とも重なりあうようだ。児童向けに平明に書かれているが、仮説を立てて取材、検証する過程は歴史ミステリーを読むようで大人が読んでも面白い。
「まぼろしの上総国府」は、現段階ではまだ幻のままだ。とはいえ、現場で調査担当者が積み重ねてきた軌跡は、国府があった場所が次第に絞られつつあることを示している。
田所真・同市埋蔵文化財調査センター所長の、所在地を特定するには何が必要かとの説明の一文が、国府についての理解を助ける。
発行はくもん出版。144ページ、1400円(税別)。問い合わせは同出版(03・3234・4001)へ。
0 件のコメント:
コメントを投稿