オペラで芥川「地獄変」 生誕120年記念し上演
[掲載]2012年08月08日
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芥川龍之介の生誕120周年を記念して、代表作「地獄変」を原作としたオペラが、8月10日から芥川の育った両国にあるシアターΧ(カイ)(東京 都墨田区両国2丁目)で上演される。同劇場は今年が創立20周年で、その記念公演にも位置づけている。企画した同劇場プロデューサーの上田美佐子さんは 「最高の舞台芸術と呼ばれるオペラで芥川の精神に近づけたら」と話している。
地獄変は、芥川の短編小説で初出は1918年。平安時代の権力者、 大殿と本朝一の絵師、良秀とその愛娘(まなむすめ)が主な登場人物だ。大殿から最高の地獄絵を描くように命じられた良秀は、牛車ごと生きたままの貴婦女を 焼くのを見たいと所望。実際に良秀の目の前で焼かれたのは良秀の愛娘だった。良秀は至高の地獄絵を仕上げ、首をつる。
原作をもとにイスラエルの 作曲家でピアニストのロネン・シャピラさん(45)が作曲し、イタリアに住む演出家の井田邦明さん(62)が演出する。「良秀の地獄絵はアウシュビッツを 思い起こさせる。その凄(すさ)まじさを東洋的なものと西洋的なものを融合する独自の音楽で表現したい」とシャピラさんはいう。
芥川は1892年生まれ。生後約8カ月から18歳までの時期を墨田区で過ごした。シアターΧは、芥川が通った小学校のあった回向院の元敷地内で、今の回向院の隣に位置する。先月22日には研究者らによる座談会「芥川龍之介と両国」を開催した。
上田さんは「良秀や愛娘の置かれている状況は、突き詰めれば、現代のわれわれにも似ているといえる。この機会に、いかに生きるかを考える一助になれば」と話している。
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12日までの3公演。開演は10日が午後8時、11、12日が午後3時で、上演時間は約70分。料金は千円(全席自由)。問い合わせはシアターΧ(03・5624・1181)へ。
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