美術シンボル事典 [著]H・クレッチマー [訳]西欧文化研究会
[文]朝日新聞社広告局 [掲載]2013年09月18日
■図像にこめられた宗教上のシンボルを理解する必読書
宗教と美術の歴史が密接な関係にあるこ とはいうまでもない。キリスト教信仰のあつかった時代には、描かれた宗教上のシンボル、聖人の持ち物などを見れば、誰でもその意味を理解することができた という。本書は初期キリスト教時代から19世紀までを中心に図像等、シンボルを解説した事典である。有名なボッティチェリが「春」で描いたオレンジは永遠 の若さ、愛、豊穣(ほうじょう)を象徴し、アンジェリコの「受胎告知」に登場するアダムとエバ(イブ)は、受胎告知の先触れとしての意味がある。
そうした意味が理解できると、西洋芸術がさらに楽しくなる。絵画の隅っこに描かれた果物や置き物の背景にも物語があるからだ。本書によれば、おなじみの月 桂樹には栄冠にとどまらず、不滅性や平和のシンボルとしての意味がこめられ、愛のしるしとして描かれることもある。本書が網羅する作品は、ルーヴル美術館 (パリ)、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)、国立絵画館(ベルリン)など、欧米の有名な美術館の収蔵品を中心に、地方の美術館や教会、修道院の作品も 取り上げているだけに興味は尽きない。
この記事に関する関連書籍
著者:ヒルデガルト・クレッチマー、西欧文化研究会/ 出版社:大修館書店/ 価格:¥3,360/ 発売時期: 2013年09月
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