2013年9月28日土曜日

asahi shohyo 書評

新解 マルクスの言葉 [著]浅尾大輔

[文]朝日新聞社広告局  [掲載]2013年09月18日

表紙画像 著者:浅尾大輔  出版社:バジリコ 価格:¥ 1,785

■混迷を深める現在、リアルに立ち上るマルクスの名言

 本書は、カール・マルクスの主な著作や 論文、手紙などから268の言葉を選び出し、その意味を現代のさまざまな問題と絡めて解説したエッセー集である。当たり前だが、マルクスの言葉は平易とは 言い難い。目に見えない経済概念を文字だけで捉えなければならないからだ。著者は、「格差社会」や「ブラック企業」「自由貿易」といった今日的なキーワー ドを駆使して想像力を促しながら、難解な言葉に切り込んでいく。読み進んでいくうちに、マルクスが言わんとした普遍的な問題がリアルに立ち上り、「あ、そ ういうことか」と膝(ひざ)を打つ瞬間が何度も訪れるだろう。
 だが、その快感を味わわせることが著者の目的ではなさそうだ。本書の巻頭に掲げた 言葉は、「すべてを疑え」。政治家や学者にだまされたと憤るのは簡単だ。しかし、「疑うとは、自分の頭で考えること。そして我が身を振り返ること」と著者 は言う。マルクスは、「万国のプロレタリア諸君、団結せよ!」という、あまりにも有名な言葉を残している。一人ひとりが知恵を持つことで、はじめて団結が 意味を持つことを本書は示唆している。

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著者:浅尾大輔/ 出版社:バジリコ/ 価格:¥1,785/ 発売時期: 2013年09月

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