2013年1月29日火曜日

asahi shohyo 書評

エキゾチック・パリ案内 [著]清岡智比古

[文]小林莉子  [掲載]2013年02月01日

表紙画像 著者:清岡智比古  出版社:平凡社 価格:¥ 882

 パリのユダヤ、アラブ、アフリカ、アジア、インド人街を取りあげ、豊富な写真や地図と共にパリの歴史の奥深さを紹介している。読みすすむほど、パリのざわめきや匂いが伝わり、街中を歩いているかのような気持ちとなる。
  ユダヤ人街のロジエ通りには「アディダス・オリジナル」がある。特別なお店がなぜこの通りにあるのか。それは創業者のダスラーがドイツ系ユダヤ人だから。 アラブ人街のバルベスのマルシェ(市場)は、パリで最も活気があり、また物価が一番安いところで、著者はその混沌とした様子を「眩暈(めまい)」と表現す る。ヨーロッパ最大の中華街がある13区は、様々な経緯を経てやってきた中華系移民のうねりが集結した魅力ある場所だ。"オシャレで洗練"ではなく"ダイ ナミックで壮大"な文化がある。
 おいしそうなイディッシュ料理店、クスクス料理店、アフリカ料理店などが紹介されるのもうれしい。よそ者たちがパリに溶け込み文化の華を咲かせた。その種が実らせたエキゾチックな果実を味わえる本だ。

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著者:清岡智比古/ 出版社:平凡社/ 価格:¥882/ 発売時期: 2012年11月

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