2013年1月23日水曜日

asahi shohyo 書評

路地裏が文化を生む! [著]増淵敏之

[評者] 田中優子(法政大学教授)  [掲載]2013年01月20日   [ジャンル]政治 

表紙画像 著者:増淵敏之  出版社:青弓社 価格:¥ 1,680

■都市の可能性を発見できる場

 「拡大するだけが都市の美徳ではない」。そのとおりである。本 書はその思想を背景に、拡大しない「路地裏(バックストリート)」から都市を見た。新宿、渋谷、六本木、原宿、下北沢、秋葉原、吉祥寺、道頓堀、ミナミ、 京都、札幌、広島、福岡が、路地と音楽と文学とタウン誌と劇場とカフェから見えてくる。現状ばかりでなく、その変化の歴史も綴(つづ)られる。つまり、路 地裏を文化の場として捉(とら)えたとき、そこには金太郎飴(あめ)化している都市への絶望ではなく、新しい可能性が発見できるのだ。
 都市、文 学、音楽、メディアは別々に論じられているが、しかし「場」から考えるとそれらはともに存在し、相互に関わり合いながら生み出されてきた。そこに私たちは 「居場所」をみつけ、消費者であるとともに創造者となり、都市の文化を作ってきたのではないか。インターネットが仮想の場を構築しつつある今、本書は個々 の場所の歴史を確認しつつ、そのことを思い出させてくれる。
    ◇
 青弓社ライブラリー・1680円

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路地裏が文化を生む! 細街路とその界隈の変容

著者:増淵敏之/ 出版社:青弓社/ 価格:¥1,680/ 発売時期: 2012年11月

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