ウイルスや古代生物、ペーパークラフトの世界
[掲載]2013年04月18日
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生物の授業に関心を持ってもらおうと、ペーパークラフトを採り入れている県立新潟翠江高校の教諭土屋英夫さん(35)が、ウイルスや古代の生物な ど10種のペーパークラフトの作り方を載せた本を昨秋、出版した。土屋さんは「生徒たちが身の回りの理科や生物に少しでも興味を持つきっかけになればうれ しい」と話している。
土屋さんがペーパークラフトを作り始めたのは、私立高校で常勤講師をしていた2003年ごろ。科学のわかりやすさを発信する「飛び出す絵本」を見て、同じような仕掛けを自分でも作ってみたいと考えた。
初めて作ったのは、細菌に感染するウイルス「バクテリオファージ」のペーパークラフト。一般のペーパークラフトの本などを参考にしながら、はさみで切り開いて作った。
授業で配って作らせてみると、20分もせずにできあがった。生徒たちは「先生が作ったの?」。興味を持ってもらえたようだった。「こんなことをやっている人なんだ、という自己紹介にもなる」と考え、徐々に、レパートリーを増やしていった。
06年ごろ、ペーパークラフトの展開図や、拾った植物や虫の標本を整理するためにホームページを開設。それを見た出版社から11年春、「本を出しませんか」と持ちかけられた。面白いと思ってもらえるのか不安だったが、「生徒と話せるネタが増える」と思って引き受けた。
古代の生き物が好きだという編集者から持ちかけられ、5億年前の古生物「アノマロカリス」や「三葉虫」のペーパークラフトも作った。買ってくれた人ががっ かりしないように、「フックの顕微鏡」のペーパークラフトは、縮尺を計算し、顕微鏡をはめるねじまで再現した展開図を作った。「作り始めたら細部までこだ わってしまった」。昨年9月、飛鳥新社から「精密立体 ペーパーバイオロジー」(税抜き2200円)として出版した。
ペーパークラフトのほか、動物の骨格標本も作っている。「色んなことに興味を持つ生徒がいる。それぞれに応えられるよう、引き出しは色々あった方がいいと思うんです」。生徒から質問が飛び、双方向の授業ができるよう工夫を重ねていきたいと考えている。(水野梓)
この記事に関する関連書籍
著者:土屋英夫/ 出版社:飛鳥新社/ 価格:¥2,310/ 発売時期: 2012年09月
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