ラジオのこちら側で [著]ピーター・バラカン
[文]笠間直穂子 [掲載]2013年04月05日
ソウルフルで大人好みの選曲、音楽への深い愛情と率直な話しぶり。著者のラジオ番組には信頼感がある。40年近く、日本のラジオ・テレビ・音楽業 界に関わってきた彼の来日から現在までの道のりを辿る、語りおろしの一冊。洋楽ファンはもちろん、音楽界や放送メディアの移り変わりを知りたい向きにも、 現場の感覚が盛りだくさんでお勧めだ。
ロンドンで生まれ育った音楽好きで、大学では日本語を学んだ。卒業後、日本の音楽出版社の国際部の社員募 集を見つけて応募。採用が決まり、1974年、東京に降り立った。会社が権利をもつ楽曲を売り込む仕事を通じて、日本で流行る音楽と自分の趣味との違いを 痛感。そのうちにDJのオーディションを受け、FM東京で活動を始めるとともに、YMOの事務所で働くように。スポンサーの問題や、トーク中心の慣習に抗 いながら、活躍の場を広げていく。
ラジオで新しい音楽を知った世代。今度は自分がいい音楽を伝えたい、その思いが声にこもる。各年代の思い出の10曲を紹介するコラムも楽しい。
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著者:ピーター・バラカン/ 出版社:岩波書店/ 価格:¥798/ 発売時期: 2013年01月
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