2011年10月18日火曜日

asahi international sport Nobukazu Kuriki Everest crow karasu

エベレスト登頂カラスで断念 8千メートル近い高所

写真:標高約5300メートルにある栗城さんのベースキャンプ周辺でみられたカラス=栗城事務所提供拡大標高約5300メートルにある栗城さんのベースキャンプ周辺でみられたカラス=栗城事務所提供

写真:栗城史多さん拡大栗城史多さん


 世界最高峰の登山で最大の難敵は、カラスだった——。エベレスト(8848メートル)に挑んだ日本の登山家が今月、こんな現実に直面し、頂上を前に登頂を断念した。

 数々の世界の高峰に挑んできた登山家、栗城史多(くりき・のぶかず)さん(29)=札幌市=は12日、エベレストの7800メートル地点でぼうぜんと なった。体を高所に慣らすことも兼ね、10日ほど前に登った時に雪の中に埋めた食料がカラスに掘り返され、食い荒らされていたからだ。

 最も痛かったのは、雪を溶かして飲み水を作るため、一緒に埋めた登山用コンロの燃料ボンベがなくなっていたことだ。

 標高8千メートル超では、酸素が平地の約3分の1しかなく、高山病予防のために大量の水分をとる必要がある。栗城さんは泣く泣く、ベースキャンプの仲間 に無線で「登頂断念」を伝えた。「天気も良かったし、ここからが正念場というところだった。まさかカラスにやられるとは……」

 エベレストの8千メートル近い高所でのカラス、実は登山家の間ではよく知られている。1995年春、中国側から登頂した日大隊は、登る途中に7200 メートルのキャンプがカラスに荒らされた。隊員だった古野淳さん(50)は「テントの布地をつついて破り、ソーセージなどが食い荒らされた」と話す。






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