朝鮮半島由来の石塔、韓国団体が返還要求 震災で被災
震災の激しい揺れで、塔の上部がよじれた石塔=24日、東京都港区の大倉集古館、武田写す
震災で一部が損傷し、危険防止のために防護幕で覆われた石塔を調べる朴菖熙・元韓国外国語大教授(左)ら=24日、東京都港区の大倉集古館、武田写す
日本が朝鮮半島を植民地支配していた時代に日本に持ち出された石塔が、東日本大震災で被害を受けた。韓国側では震災前から、元の場所である京畿道利川(イチョン)市に戻すよう求める署名運動が展開されていたが、被災を機に早期返還を求める声が高まっている。
高麗時代(10〜14世紀)の初期に建てられたと推定される五重の石塔(高さ約6.5メートル)は、1918年に日本に運び出された。所蔵する東京都港 区の「大倉集古館」によると、23年の関東大震災にも耐えたが、今回の震災で四層目がねじれ、石の一部が欠けるなどした。余震の危険性のため、修復への着 手は早くて半年後という。周囲を柵で囲い、防護幕をかける応急措置をしている。
こうした状況は韓国メディアでも報じられ、24日には返還運動を進めてきた利川市の市民団体が同館を訪れて被災状況を調査。元市議の趙明鎬さん(63) は「市民は被災者のみなさんに同情するとともに、郷土の宝である石塔の惨状に心を痛めている。余震のない韓国に戻せばすぐに修復に着手でき、長い目で見て 韓日友好につながる」と早期返還を訴えた。
これに対し、同館は「これまで100年近く守り続けてきたという自負があり、責任を持って修復し、保存する」とし、応じられないとの姿勢を示した。(武田肇)
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