植物はそこまで知っている [著]ダニエル・チャモヴィッツ [訳]矢野真千子
[文]谷本束 [掲載]2013年07月12日
植物に感覚なんかないでしょと思っていたら、どうもそうではないらしい。植物は周りを「見て」いるし匂いさえ「嗅いで」いる。驚きの感覚世界を解き明かす最新の植物学。
意外なことに植物はちゃんと光受容体をもっている。青い光を感知するとそちらに体を曲げる仕組みになっていて、日の当たる方向に迷わず伸びていく理由がこ れ。時期を違えず花を咲かせるのも「見る」からだ。夜間に夜明けの光に相当する赤い光をとらえることで夜の長さを測り、正しい開花時期を知る。つまり色も 識別していることになる。
驚くべきは「記憶する」能力。食虫植物のハエトリグサは、獲物が葉の内側の毛の1本目に触れたときは動かず、2本目で葉を閉じる。1本目に触れたという情報を、2本目に触れるまで保持するシステムをもっているのだ。
進化論のダーウィンは優れた植物学者としても有名で、彼を始めとする植物学者たちが実験で五感のメカニズムを解き明かしていく過程がエキサイティング。植物のおよそ「植物らしからぬ」アクティブな生活に、脳みそが引っこ抜かれるような衝撃。
この記事に関する関連書籍
著者:ダニエル・チャモヴィッツ、矢野真千子/ 出版社:河出書房新社/ 価格:¥1,680/ 発売時期: 2013年04月
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