富士山文化—その信仰遺跡を歩く [著]竹谷靱負
[文]朝日新聞社広告局 [掲載]2013年07月17日
■世界文化遺産の霊峰の先に豊かで奥深い世界が見える
ついに待ちに待った世界文化遺産登録が 実現した。今年は夏休みの観光シーズンを皮切りに、富士山ブームが本格化しそうだ。本書は副題に「その信仰遺跡を歩く」とあるように、いわゆる物見遊山ガ イドではない。富士山文化研究会会長、富士学会理事の肩書を持つ著者が、「信仰の山・富士山」の魅力について、コンパクト版ながら丁寧に解説した内容であ る。ポケットにしのばせて富士山をめぐるにも最適だ。
著者は、富士山が江戸という都市景観のなかで中心を占めるに至った経緯から説き起こす。か つて江戸の町のいたるところから霊峰富士を望むことができ、そこから富士見町、富士見坂などの地名が生まれた。そして富士山を構成する信仰遺跡と巡拝コー スについて説明を加える。古来、富士山は全体が大きな母胎と考えられていた。つまり富士登山とは「登拝」する営みであり、神秘の世界に分け入ることであっ た。だからこそ、富士山の山麓(さんろく)をはじめ周辺には多くの遺跡が散在するのである。信仰の対象としての富士山、そして私たちの心のよりどころで あったゆえんが理解できる。
この記事に関する関連書籍
著者:竹谷靱負/ 出版社:祥伝社/ 価格:¥882/ 発売時期: 2013年07月
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