植物からの警告 [著]湯浅浩史
[文]西條博子 [掲載]2012年09月28日
海外50以上の国で植物の生態を調査する学者が、植物を通じた環境の変動を、南アフリカやギアナ高地、イースター島など9カ国を例に検証する。
日本では中国原産のモウソウチクが関東以西の里山を侵食し、日本本来の景観を変えるほどだという。現在、山村の高齢化によって里山の手入れがなされていな いことが原因の一つ。モウソウチクは根が浅いため、雨が降れば斜面が雪崩のような地滑りを起こす場合がある。実際に四国でそのような例があった。モウソウ チクの手入れは、国土保全のために国家的に取り組むべきものだと指摘する。
マダガスカルではバオバブの若木が育っていない。新しい住民に、生活 に必要な樹皮をまるごとはがされ倒れていく。かつては海だったオーストラリアの西部では地下の塩分が地表付近に溶け出し、ユーカリの林が白く立ち枯れてし まっている。人間が森を切り拓いて、土地の保水力をなくしたからだ。生態系の変化と同時に、そのきっかけが人間の行動であることも伝えている。
この記事に関する関連書籍
著者:湯浅浩史/ 出版社:筑摩書房/ 価格:¥840/ 発売時期: 2012年07月
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