藤田嗣治の遺品6千点、母校に寄贈 日記や写真など
東京芸大に寄贈される藤田嗣治の日記や写真=東京・上野公園の東京芸大・大学美術館
藤田嗣治
エコール・ド・パリの画家藤田嗣治(つぐはる=1886〜1968)の戦前の日記が見つかり、戦後の日記や遺品と合わせて約6千点が、母校の東京芸術大 学に寄贈されることになった。2009年に亡くなった妻・君代さんの相続人の代理人を務める角田昌彦弁護士が7日、明らかにした。
藤田は、乳白色の絵肌に女性や猫を線描する画風でパリの人気画家になった。遺品は君代さんが保管していた。
寄贈品の中心は、1930年から亡くなる68年までの日記類。東京芸大・大学美術館の古田亮准教授によると、30〜40年の日記のほとんどは、研究者に も存在が知られていなかったという。また、日記は、戦時中を含む41〜46年が欠けていた。藤田が戦争記録画を描き、後に戦争協力を指摘された時期と重な る。批判された藤田は戦後に渡仏、カトリック信者となり、フランス国籍まで取った。
ほかに、多数の写真や映像を撮った16ミリフィルムなどを寄贈。東京芸大は、2011年度から資料の整理と分析を始める予定だ。
藤田に詳しい京都国立近代美術館の尾崎正明館長は「藤田の著作から戦後だけでなく、戦前の日記もあると思っていたが、現物は出てこなかった。貴重な資料 だ。資料の整理が進めば、フランス国籍になり、洗礼を受けた心の動きまで分かるかもしれない」と話している。(西田健作)
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