カンタ・エン・エスパニョール! [著]ホセ・ルイス・カバッサ [訳]八重樫克彦、八重樫由貴子
[文]土屋敦 [掲載]2012年11月23日
題名を訳せば「スペイン語で歌う!」となる。その言葉どおり、本書は、主にスペイン語圏出身のミュージシャンへのインタビュー集である。
著者がアルゼンチンのコラムニストゆえ、登場するのは南米のミュージシャンが多い。そして、彼らの多くが軍事政権による圧迫を受け、一部は亡命を余儀なく されるなどしており、それだけに語られる言葉は日本のミュージシャンとは比べ物にならないほどの深遠さをたたえている。
「俺はマハトマ・ガン ジー」と言うラテン・ロックの雄、チャーリー・ガルシアの個性、亡命生活の苦しみを語る、詩人にして、ウルグアイを代表する音楽家でもあるアルフレッド・ シタロッサの言葉の重み、「エルヴィスよりボルヘスになりたかった」というホアキン・サビーナや、ニーチェやフーコーに影響を受けた歌詞を書くルイス・ア ルベルト・スピネッタなどの言葉に漂う、詩的で哲学的な雰囲気……。
そしていうまでもなく、読了後、彼らの音楽を聞きたくなるのである。
この記事に関する関連書籍
カンタ・エン・エスパニョール! 現代イベロアメリカ音楽の綺羅星たち
著者:Jose Luis Cavazza、八重樫克彦、八重樫由貴子/ 出版社:新評論/ 価格:¥2,310/ 発売時期: 2012年10月
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