2012年11月2日金曜日

asahi shohyo 書評

大阪の神さん仏さん [著]釈徹宗・高島幸次

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)  [掲載]2012年10月28日   [ジャンル]歴史 社会 

表紙画像 著者:釈徹宗、高島幸次   出版社:140B 価格:¥ 1,575

■宗教都市の横顔、縦横に議論

 住吉大社、四天王寺、大阪天満宮、石山本願寺……。大阪という都市の形成には、思いのほか、社寺が深く関わっている。本書は、仏教・神道のスペシャリストであり、生粋の大阪人である二人が、縦横無尽に宗教都市・大阪を語り尽くす。
 大阪は全国で二番目に寺の数が多く、中でも浄土真宗の寺が多い。釈は大阪商人の勤勉・節約といった商業倫理の源泉を、真宗の教えの中に見出(みいだ)す。
  真宗は、しばしばプロテスタントと類似していると言われる。商いに従事し、職務を全うすることこそ凡夫の仏道と説いた蓮如の教えは、プロテスタンティズム の倫理が資本主義の精神を生み出したとするウェーバーのテーゼと重なる。実際、大阪では真宗の寺内町ネットワークが職業共同体を構成し、繊維業や製薬業な どを発展させた。
 大阪人の気質に宗教的基層を見出す議論は、ユニークかつスリリング。目から鱗(うろこ)の一冊だ。
    ◇
 140B・1575円

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大阪の神さん仏さん 

著者:釈徹宗、高島幸次 / 出版社:140B/ 価格:¥1,575/ 発売時期: 2012年08月

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