2012年11月15日木曜日

asahi shohyo 書評

出世するキレ方 [著]楠元博丈

[文]清野由美(ジャーナリスト)  [掲載]2012年11月11日

表紙画像 著者:楠元博丈  出版社:文響社 価格:¥ 1,470

■イヤなヤツへの対応を指南

 無神経な人、陰口を言う人、自慢する人、愚痴を言う人……仕事を する上で、イヤなヤツとの接触は避けられない。矛先が自分に向けられることだってある。そんな時の「キレ方」を、21のパターンにわたって指南するのが本 書。ただし、ここで言う「キレ方」とは「感情にまかせて大声で怒鳴ったり暴れ回ったりするものではありません」。
 では、どんなものか。
 「キレる」の前には、「いなす」の準備段階がある。たとえば「無神経な人」に、公然と仲間はずれにされた時は、まず「自虐ネタで切り返す」。著者が例示する具体的な台詞(せりふ)では、「いやヘコむわ! そんな『公開仲間外れ宣言』されても!」になる。
 それがダメなら、次に「なんでそんなこと言うんだよ!! ひどいよ! あ…。ごめん…!」と、「一度マジギレしてすぐ謝る」という「有効なキレ方」が来る。
  著者が放送作家ということもあって、嫌な人のパターンやいなし方、キレ方の台詞が"業界"に傾き過ぎてはいるが、通底するのは、自分が「イヤです」と思っ ていることを相手に伝えると同時に、人間関係に決定的なダメージも与えず、問題の解決を図る、というテクニック。マキャベリ……とまでは決して言わない が、複雑、高度な処世術で、確かにこれができれば出世する、かもしれないのである。
    ◇
 文響社・1470円

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著者:楠元博丈/ 出版社:文響社/ 価格:¥1,470/ 発売時期: 2012年10月

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