2011年8月26日金曜日

asahi science astronomy diamond

2011年8月26日12時0分

4千光年の彼方にダイヤの星 大きさは地球の5倍?


 地球の5倍の大きさかも知れないダイヤモンドでできた星——。地球から4千光年離れた銀河系のなかに、こんな惑星があるとみられることが、オーストラリアなどの国際研究チームの観測でわかった。26日の米科学誌サイエンスに発表する。

 豪や英米にある複数の望遠鏡による観測で、この惑星は、重さは地球の300倍以上ある木星と同じくらいだが、直径は地球の5倍程度の6万キロ以下とわ かった。惑星の密度から炭素や酸素でできていると考えられ、この大きさの惑星だと、炭素は結晶化してダイヤモンドになっているとみられる。

 太陽のような恒星が二つペアになっている連星が、寿命を終えて爆発したとき、一方が中性子星と呼ばれる重い星になり、他方が表面のほとんどの物質をはぎ 取られ炭素と酸素だけの星になったと考えられる。直径20キロで太陽の1.4倍の重さがある中性子星のまわりを、ダイヤモンドの惑星が2時間10分の周期 で公転しているという。(小宮山亮磨)





asahi science archeology dinosaur gobisabaku desert

2011年8月26日12時1分

石頭恐竜の新種、ゴビ砂漠で発見 9千万年前に生息

写真:新種と分かった石頭恐竜の頭部分の化石=林原提供拡大新種と分かった石頭恐竜の頭部分の化石=林原提供

写真:パキケファロサウルス科の復元図=林原提供拡大パキケファロサウルス科の復元図=林原提供


 林原生物化学研究所(岡山市)は25日、2002年にゴビ砂漠で見つかった化石が、ドーム形の頭をもつ石頭恐竜のパキケファロサウルス科の新種だったと発表した。約9千万年前に生息していたもので、同科では世界最古という。

 化石はモンゴルのアムトガイで発見。前後5センチ、幅4センチ、厚さ2センチで、前頭骨と頭頂骨がくっついた頭骨の最上部にあたる部分だった。体長1メートル程度の若い恐竜とみられる。骨の特徴から新種と判明。発見場所から「アムトケファレ・ゴビエンシス」と名付けた。

 パキケファロサウルス科の化石はこれまで、約8千万年前までのものしか確認されていなかった。今回は約9千万年前の白亜紀後期の地層から見つかった。石 頭恐竜の石頭は戦いで頭突きに使うと考えられてきたが、近年は首を痛めるとの指摘もあり、用途は謎となっている。(長崎緑子)





2011年8月24日水曜日

asahi science biology genetics genome sparrow suzume parrot ohm oumu

2011年8月24日0時27分

スズメとオウム、近い仲間 米独チームがゲノム解析

写真:ハヤブサの仲間、ヒメチョウゲンボウ。同じ猛禽類のタカやワシの仲間よりオウムに近い?=Jan Ole Kriegs氏撮影、ネイチャーコミュニケーションズ提供拡大ハヤブサの仲間、ヒメチョウゲンボウ。同じ猛禽類のタカやワシの仲間よりオウムに近い?=Jan Ole Kriegs氏撮影、ネイチャーコミュニケーションズ提供

写真:オウムの仲間のコンゴウインコ=Jan Ole Kriegs氏撮影、ネイチャーコミュニケーションズ提供拡大オウムの仲間のコンゴウインコ=Jan Ole Kriegs氏撮影、ネイチャーコミュニケーションズ提供

写真:スズメ目のハタホオジロ=Jan Ole Kriegs氏撮影、ネイチャーコミュニケーションズ提供拡大スズメ目のハタホオジロ=Jan Ole Kriegs氏撮影、ネイチャーコミュニケーションズ提供


 スズメなどの小鳥にとって、分類上一番近い関係にあるのはオウムだった、とする新たな解析結果が、米独の研究者による共同研究で明らかになった。24日、ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)で発表する。

 チームは、染色体上のゲノムを解析し、レトロポゾンと言われる特徴的な配列をどのように共有しているかを分析した。その結果、スズメやハタホオジロ、 フィンチなどスズメ目に最も近い共通祖先を持っているのはコンゴウインコなどのオウムの仲間で、さえずりはこれまでの説より、3千万年も前の中生代に共通 祖先で獲得したと見られることが分かった。

 さらに、ハヤブサやヒメチョウゲンボウなどは、同じ猛禽(もうきん)類であるワシやタカなどよりもスズメやオウムの仲間に近いことも分かった。







2011年8月23日火曜日

asahi shohyo 書評

「持たざる国」の資源論—持続可能な国土をめぐるもう一つの知 [著]佐藤仁

[評者]上丸洋一(本社編集委員)  [掲載]2011年08月21日   [ジャンル]政治 人文 

表紙画像 著者:佐藤仁  出版社:東京大学出版会 価格:¥ 2,940

■「日本は資源が乏しい」のか?

 「資源」という言葉は、そう古い言葉ではないのだそうだ。日清、日露の戦間期にあたる1900年前後から使われるようになり、辞書に載るのは昭和に入ってから。日本は資源を持たない国だ、という概念が日露戦争後に定着し、同時に日本軍の大陸侵出が本格化していった。
 資源は日本の外にある、だから、外から取ってこなくてはならない。それが、敗戦までの日本の資源観であり、植民地放棄を唱えた石橋湛山は例外的な存在だった。
 47年、経済安定本部に設置された都留重人らの資源委員会は、国内の資源に目を向け、その「生産力の保全」を総合的に構想する。60年まで日本は、エネルギーの半分以上を国産で賄っていた。
 ところが、70年代以降、エネルギー消費が爆発的に増え、自給率は原子力発電を算入しても2割を切る。海外での原料確保に力点が移り、石炭や森林など国内の豊かな資源は放棄されて現在に至る。
 これでいいのか。本書は日本の資源を総合的に把握する資源政策の創出を主張する。
 著者はこう述べる。
 「そもそも『資源小国』という言説が一時期あまりに支配的になったために、存在しなかったはずの『不足』が次々と作り出されているという事実に、もっと正面から向き合わなくてはならない」
  3・11以後、「日本は資源が乏しい」ということが、主に原発推進派によって改めて強調されてきた。しかし、本当にそうなのだろうか。電力供給が削減され れば主婦がデモを始める、という主張もかつてあったが、節電の炎暑、原発反対のデモは起きても、「もっと電気を」のデモは起きていない。
 本書は、震災からの復興の道筋を示す即効的な「実用書」ではない。しかし、こういう時こそ遠回りでも歴史に学ぶことが必要だ。そのための格好の一冊である。
    ◇
 東京大学出版会・2940円/さとう・じん 68年生まれ。東京大准教授。著書に『稀少資源のポリティクス』。

この記事に関する関連書籍

「持たざる国」の資源論 持続可能な国土をめぐるもう一つの知

「持たざる国」の資源論 持続可能な国土をめぐるもう一つの知 

著者:佐藤仁  出版社:東京大学出版会 価格:¥2,940

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稀少資源のポリティクス タイ農村にみる開発と環境のはざま

稀少資源のポリティクス タイ農村にみる開発と環境のはざま

著者:佐藤仁  出版社:東京大学出版会 価格:¥5,040

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asahi shohyo 書評

共同体の救済と病理 [著]長崎浩

[評者]姜尚中(東京大学教授)  [掲載]2011年08月21日   [ジャンル]政治 社会 

表紙画像 著者:長崎浩  出版社:作品社 価格:¥ 3,360

■革命への熱狂が生む、逆ユートピアの悲惨

 もっと自由を、もっと共同性を。この救済共同体へ の渇望が大衆を駆動し、歴史を動かすモメンタムに転化するとき、どのような悲惨な逆ユートピアが待ち構えているのか。この点を明らかにするのが本書の狙い だ。全共闘運動の高揚期に『叛乱(はんらん)論』でデビューした著者のラディカリズムは、いまも健在である。オウム真理教や人民寺院、新左翼の前衛組織や ロシア革命の労農兵士代表ソビエト、さらにパリ・コミューンに至るまで、さまざまな衣装をまとった共同体を、フロイトの集団心理学を手がかりに古代ユダヤ 教罪悪共同体や受苦共同体とダブらせて論じる知的な力業には驚くばかりだ。
 それにしても、なぜフロイトなのか。著者のみるところ、フロイトは、 神経症患者の臨床を通じて時代が大衆の集団神経症的な病理に取り憑(つ)かれつつあることをハッキリと認識していた。この「大衆心理の悲惨」こそ、ボリ シェヴィズムやナチズムを内側から突き動かす「自然力」にほかならない。その御しがたい集団神経症的な強迫の脅威を背景に、フロイトは『人間モーセと一神 教』を書いた。この点に著者は注目する。なぜなら、知的な類推を逞(たくま)しくすれば、そこには共同体の内なる超自我としての宗教的・革命的な理念、共 同体の自我とも言うべき政治、共同体のエスとしての大衆の無意識、さらに外界に対応する外敵といった原型的なパターンが出そろっているからである。
  著者は、その祖型を探り当てるべく、古代ユダヤ教の救済共同体の読み直しを試みる。ウェーバーの『古代ユダヤ教』やフロイトの精神分析などを駆使しなが ら、独自に読み解かれる苦難の歴史と共同体的結束の強化のパラドクスは圧巻である。中でも特に本書で異彩を放っているのは、フロイトの言う、殺害された 「原父」の代理としての預言者に関する記述である。ウェーバーやフロイトに倣って無償の「デマゴーグ」や「政治的宗教的アジテーター」とみなされる預言者 たち。著者は彼らを、後々、「大衆の叛乱」を背景に登場する前衛党のリーダーや「憂鬱(ゆううつ)なる党派」のインテリと結びつけている。このような時空 を超えた結びつきは、牽強付会(けんきょうふかい)の誹(そし)りを免れないかもしれない。しかし、著者はそれを百も承知なはずだ。
 むしろ行間 から読み取るべきは、本書の批判の刃は著者自身にも向けられていることだ。本書が挑発的な問題提起の書であることは間違いない。特に大震災以後、「閃光 (せんこう)のように立ち上がる相互扶助と連帯のパラダイス」が、再び、救済共同体への熱狂を増幅させることになりかねないからだ。共同体の病理を繰り返 さないためにも、本書は一読の価値がある。
    ◇
 作品社・3360円/ながさき・ひろし 37年生まれ。評論家。政治思想・科学技術・身体運動論を論じる。『叛乱論』『叛乱の六〇年代』など。

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叛乱論〔新版〕

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モーセと一神教

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著者:ジークムント・フロイト、渡辺哲夫  出版社:筑摩書房 価格:¥1,260

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古代ユダヤ教(上)

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著者:マックス・ヴェーバー、内田芳明  出版社:岩波書店 価格:¥840

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古代ユダヤ教 中

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著者:ウェーバー,M.(マックス)、内田芳明  出版社:岩波書店 価格:¥840

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古代ユダヤ教 下

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著者:ウェーバー,M.(マックス)、内田芳明  出版社:岩波書店 価格:¥1,008

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叛乱の六〇年代

叛乱の六〇年代

著者:長崎浩  出版社:論創社 価格:¥2,625

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