2010年11月4日木曜日

asahi shohyo 書評

挑発する俳句 癒す俳句 [著]川名大

[掲載]2010年10月31日

  俳句の言葉は極めて短いゆえに、類型的な要素を帯びてしまう。そこに、いかに揺さぶりをかけるか、俳人たちは言葉の闘いを仕掛けてきた。中村草田男から折 笠美秋まで、23人の昭和の俳人たちが表現の高みを目指してきた歴史を、それぞれの代表句集にたどる。新興俳句に詳しい著者だけに、若く死んだ篠原鳳作を めぐる渡辺白泉、富澤赤黄男らの「文学的友情」のエピソードも手厚い。「台所俳句」と揶揄(やゆ)されることもあった中村汀女の句にも「母性句」の豊かさ を見る。

表紙画像

挑発する俳句 癒す俳句

著者:川名 大

出版社:筑摩書房   価格:¥ 3,150

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