2010年11月19日金曜日

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レアアースに極小救世主? 微生物で濃縮、広大など発見

2010年11月18日9時3分

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図:  

 ハイテク製品や光ファイバーなどに欠かせないレアアース(希土類)が大腸菌など身近な微生物の細胞の表面で濃縮されることを、広島大などのチームが見つ け、17日に発表した。中国からの輸入に頼るレアアースを回収、精製する技術として期待される。成果は米科学誌に掲載された。

 広島大の高橋嘉夫教授(環境化学)らは大腸菌や桿(かん)菌など6種類の微生物を、レアアースが溶けた液に入れた。すると、微生物の細胞の表面にレアアースが集まり、濃縮されることがわかった。

 15種類のレアアースで実験し、いずれも溶液そのものの濃度より1万倍以上も濃縮されることを確かめた。特にツリウム、イッテルビウム、ルテチウムでは 濃縮率が10万倍を超えた。金属イオンの回収に広く使われる「陽イオン交換樹脂」より濃縮の効率は10〜100倍も良いという。

 濃縮される仕組みを調べるため、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で微生物にX線を当てて細部を観察したら、細胞表面の細胞壁にある「リン酸基」にレアアースが結びついていた。

 レアアースが結合した微生物を酸にさらせば、レアアースが酸に溶けて回収できる。また、濃縮率の違いを利用すれば、複数の種類のレアアースが混在した溶液から、狙った種類だけを分離・精製するのにも使えるという。

 ただ、微生物は生き物なので、繰り返し使えないのが弱点。「レアアースがくっつく部分を人工的につくれれば実用化に近づく」と高橋さん。

 ツリウムは光ファイバー、イッテルビウムはガラス着色剤やレーザー、ルテチウムは放射線源(ベータ線源)などに使われる。レアアースは中国が世界の生産の97%を占めている。(長崎緑子)





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