2011年4月6日水曜日

asahi shohyo 書評

風景 [著]瀬戸内寂聴

[掲載]2011年4月3日

表紙画像著者:瀬戸内 寂聴  出版社:角川学芸出版 価格:¥ 1,680


 著者の責任編集のもと刊行された雑誌「the 寂聴」で発表された7編 の短編小説を収録。坂口安吾ゆかりの地で安吾のデスマスクを見やりつつ、かつて「私」が家庭を捨ててまで稚拙な恋におぼれた安吾好きの文学青年との日々を 回想する「デスマスク」。妻子のいる身ながら「私」と恋に落ち、長らく居を共にした前衛作家との日々と、その関係を断ち切るため出家の手続きを淡々と進め た日々とを並行して振り返る「そういう一日」。どの短編もおそらくきわめて自伝的であり、著者88歳にして自らの道ならぬ情愛の記憶を改めて描き出したそ の心根とは何なのか。読み進むほどに著者に問いたくなる一冊。

表紙画像

風景

著者:瀬戸内 寂聴

出版社:角川学芸出版   価格:¥ 1,680

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