2012年10月29日月曜日

asahi shohyo 書評

辺境ラジオ [著]内田樹・名越康文・西靖

[文]谷本束  [掲載]2012年11月02日

表紙画像 著者:内田樹、名越康文  出版社:140B 価格:¥ 1,575

 思想家の内田樹、精神科医の名越康文と毎日放送アナウンサーの西靖、関西で活躍する3人が最新トピックスを語るラジオ番組「辺境ラジオ」を書籍化。大阪という"辺境の視点"から、"辺境メディア"のラジオゆえの奔放なトークを繰り広げている。
 大政治家に必要なのは「一貫性がなく無節操というおばさんの感覚」と言い放ち、「停滞する大阪を元気にしよう」という地元の機運には「このままでいいよ」。あげく、うめきた(大阪駅北地区)に大仏を建てよう、なんて話で盛り上がる。
 いやいや、そりゃちがうでしょと思いつつも読み進むうち、次第にちょっと待てよと考え始める。思考回路がカチャリと組み替わって、自分の考えはただの先入観か、メディアの言説にすぎないかもしれないという可能性に思い至るのだ。
 彼らの話が正しいかどうか、それは問題ではない。肝心なのは、彼らの辺境的視点によって思考が根本から揺さぶられ、世界の別の色合いが見えてくること。どんな問題も答えは一つとは限らない、考え続けよという強烈な一撃が心地よい。

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辺境ラジオ

著者:内田樹、名越康文/ 出版社:140B/ 価格:¥1,575/ 発売時期: 2012年09月

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