脳はすすんでだまされたがる—マジックが解き明かす錯覚の不思議 [著]スティーヴン・L・マクニックほか
[評者]逢坂剛(作家) [掲載]2012年05月27日 [ジャンル]人文
著者:スティーヴン・L・マクニック、スサナ・マルティネス=コンデ、サンドラ・ブレイクスリー 出版社:角川書店 価格:¥ 2,100 |
■ミステリー執筆の参考にも
著者こそ異なるが、本書は評者がこの欄で1年前に紹介した、『錯覚の科学』と対をなすべき、啓蒙(けいもう)書である。
ここでは、注意力の欠如や記憶の誤りなど、さまざまな理由で起こる錯誤のメカニズムを、マジックの成り立ちをとおして、解明しようとする。周知のとおり、 推理小説のトリックは、マジックの仕掛けとよく似ている。読者を、間違った方向に誘導しておき、最後に意外な真相を示して、度肝を抜く例の手法である。
本書は、人がいかにだまされやすいかを、マジシャンのテクニックを紹介しつつ、興味深く解き明かす。関連するマジックの、実技と種明かしが随所に織り込まれているので、素人マジシャンの手引書としても、楽しく読める。
推理小説の世界には、先年亡くなった泡坂妻夫さんという、マジックの名手がいた。もしかすると、本書はミステリー作家を目指す人が、トリックを考えるための参考書として、活用できるかもしれない。
◇
鍛原多惠子訳、角川書店・2100円
この記事に関する関連書籍
脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議
著者:スティーヴン・L・マクニック、スサナ・マルティネス=コンデ、サンドラ・ブレイクスリー 出版社:角川書店 価格:¥2,100
( 未評価 ) みんなのレビュー: 0 朝日の記事:1
1 ブックマ
0 件のコメント:
コメントを投稿