2012年5月22日火曜日

asahi shohyo 書評

イルカの認知科学—異種間コミュニケーションへの挑戦 [著]村山司

[評者]川端裕人(作家)  [掲載]2012年05月20日   [ジャンル]科学・生物 

表紙画像 著者:村山司  出版社:東京大学出版会 価格:¥ 3,570

■ヒトとの会話を目指して

 研究目的は「イルカと話すこと」とあっけらかんと述べる。類人猿では手話やコンピューターを使って実現しており、イルカ研究の目標としておかしくない。しかし、ここで身構える人もいるはず。ことイルカに関しては「テレパシーで話した」などと神秘主義的主張も多いからだ。
 しかし著者はあくまで認知科学研究として「会話」の可能性に迫る。水族館を拠点に、それまで知見の少なかったイルカの視覚について基礎的な調査をした上で、記憶、数の認識といった能力を探る。更には「自己認知」「他者の心の理解」など、より高度な心的活動の確認へ進む。
  ここまで布石を打って「会話」の試みへの準備完了。類人猿の場合、既存のアメリカ手話を使った研究が有名だが、イルカでは聴覚と視覚を用い新たな言語を創 る。すでに「物を名前で呼ぶ」「文字を読む」など、初歩的成果があがっているそうだ。「会話」が成立する日は近いかもしれず、夢が膨らむ。
    ◇
 東京大学出版会・3570円

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著者:村山司  出版社:東京大学出版会 価格:¥3,570

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