日付入りの大刀出土 暦使用の国内最古例か 福岡
【動画】日付刻まれた大刀が出土 国内最古の暦使用例か |
元岡古墳群から出土した鉄製大刀。下のX線画像で干支や日付が刻まれていることがわかる(赤い線で囲まれた部分)=21日午前10時14分、福岡市役所、溝脇正撮影 |
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福岡市西区の元岡古墳群で、西暦570年とみられる「庚寅(こういん)」の干支(えと)と、「正月六日」の日付が刻まれた鉄製大刀(たち)が見つかっ た。福岡市教委が21日、発表した。年と月日を組みあわせて表記した古墳出土の刀剣類の発見は初めて。暦が認識され、使われたことを示す国内最古の例とみ られる。
6世紀半ばに暦が伝来したとする「日本書紀」の記述を裏付け、古墳時代の社会を解き明かす画期的な資料になる可能性がある。
7世紀に造られた同古墳群G6号墳の石室内から8月末に出土した。長さ75センチの刀身の背の部分に「大歳庚寅正月六日庚寅日時作刀凡十二果□(1字不 明、練か)」の19文字が、彫った文字に金や銀を埋め込む象眼という技法で記されていた。市教委によると、「庚寅の年の正月6日庚寅の日に、この刀を作っ た。12回練り鍛えた」と読め、年の干支と日付の干支を照らして570年と判断したという。
出土当初、表面はさびで覆われていたが、福岡市埋蔵文化財センターがX線撮影をした結果、文字が確認された。製作地は朝鮮半島の可能性も捨てきれないが、同時代の関東や九州、山陰地方に国産品の象眼刀剣類が複数出ていることなどから、国産である可能性が高いという。
「日本書紀」には554年、暦が朝鮮半島にあった百済から日本へもたらされたとある。見つかった表記は暦にしたがったとみられ、伝来から十数年後には国内で暦が普及していたと考えられる。
文字を象眼した古墳出土の鉄剣類は6例見つかっている。うち、年号が入ったものは埼玉県の稲荷山古墳出土鉄剣など3例があるが、具体的な日付が入った例はこれまでなかった。(岩本美帆、編集委員・中村俊介)
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