2013年11月7日木曜日

asahi shohyo 書評

安倍政権のネット戦略 [著]津田大介、香山リカ、安田浩一ほか

[文]松岡瑛理  [掲載]2013年11月08日

表紙画像 著者:津田大介、安田浩一、香山リカ  出版社:創出版 価格:¥ 756

 本書は、第二次安倍内閣とネットを中心としたメディア戦略の関わりについて、月刊「創」の掲載記事をまとめたものだ。
 ソーシャルメディ ア上の首相の発信に対する反応を組織的に分析、検証するなど、メディア対策に力を入れる安倍政権。本書の狙いはそうした取り組みの効果を功罪あわせて見て ゆくことにある。興味深いのは、第一章で展開される津田大介氏×安田浩一氏×鈴木邦男氏の鼎談だ。ニコニコ動画に自民党のバナー広告を出したり、ネット上 での党首討論を提案するなどして安倍政権が「ネット右翼」と呼ばれる層の支持を獲得する具体的な手法が解説される。ネット言論では戦後民主主義的な「良い 子の」価値観よりも、憲法破棄のように「シンプルで力強いもの」がウケるという安田氏の見立てがわかりやすい。
 自民党政権と民主党政権のメディア対応の違いや、ネット動画と政治との関わりにも話が及ぶ。ネットがこれからの政治に秘める可能性と危険性の両側面を教える教材として、支持政党にかかわらず一読の価値がある。

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著者:津田大介、安田浩一、香山リカ/ 出版社:創出版/ 価格:¥756/ 発売時期: 2013年07月

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