2010年12月1日水曜日

asahi shohyo 書評

文豪の食卓 [著]宮本徳蔵

[掲載]2010年11月28日

表紙画像著者:宮本 徳蔵  出版社:白水社 価格:¥ 2,310


 井伏鱒二の弟子のつもりになって間近に住んでみたが、訪ねる勇気のない 著者はパーティーで遠くに仰ぐだけ。近くに太宰治が為替を換金した郵便局があり、前を通ると胸がドキドキする。井伏が通ったウナギ屋2軒が、互いに相手を 良きライバルと見ているという「鰻丼(うなどん)対決」。すし屋で大岡昇平を泣かせた小林秀雄の絡み癖や、永井龍男が歌舞伎の劇場に持参した鎌倉のいなり ずしの話、小津安二郎の映画で「喜八もの」と呼ばれるシリーズの登場人物は、伊勢のうどん屋「喜八屋」からとった、など気取らない食べ物と文士たちのエピ ソードが味わい深い。

表紙画像

文豪の食卓

著者:宮本 徳蔵

出版社:白水社   価格:¥ 2,310

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