2010年12月12日日曜日

asahi shohyo 書評

「本音の声を伝える勇気を」 現代詩花椿賞・有働薫さん

2010年12月12日

写真:詩人の有働薫さん拡大詩人の有働薫さん

表紙画像著者:有働 薫  出版社:思潮社 価格:¥ 2,310


 第28回現代詩花椿賞の贈賞式が東京都内であり、詩集『幻影の足』(思 潮社)で受賞した有働薫さんがあいさつした。現実と幻想のあわいの世界を巧みに描き、71年の人生が陰影豊かに浮かびあがる。30代半ばで詩作を始め、 48歳で第1詩集を刊行。仏現代詩の翻訳者でもある。「この初受賞は生涯最大のビッグイベント。この1週間、賞に値する才能のある詩人なのだと自己暗示を かけて過ごした」と心境を語った。

 「私は終戦の年に小学1年生。戦後の混乱期でも、子供にとっては外側からの拘束がゆるい自由な時代だった。

自分が何をしたいのか、希望をもって問い、自己の精神を肥やすことができた。私たちの世代のそんな恵まれ方を今まできちんと伝えてきたのか、気にかかっている。考えを口に出さぬ気質は抜けないが、本音の声を伝える勇気を持つことこそ、自分が今するべき唯一のことではないか」(白石明彦)

表紙画像

幻影の足

著者:有働 薫

出版社:思潮社   価格:¥ 2,310

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