2013年10月20日日曜日

asahi shohyo 書評

世界のモザイク

[文]原田マハ(作家)  [掲載]2013年10月13日

シェイフ・ロトフォッラー・モスク(イラン)(C)末永幸治/アフロ 拡大画像を見る
シェイフ・ロトフォッラー・モスク(イラン)(C)末永幸治/アフロ

表紙画像 著者:---  出版社:パイインターナショナル 価格:¥ 1,890

 世界のあちこちを旅してきたが、「わざわざモザイクを見に行く」というのを、旅の目的にしたことは一度もなかった。そのくせ、旅先でモザイクのある場所に出くわすと、思わず「おっ!」と食らいついて、うっとりと夢心地になる。
  2年前にポンペイの遺跡を訪ねた時、モザイクが施されている場所を探しては、「これをほぼ2千年も前の人間が作ったのか……」と感心しきりだった。その 後、トルコのイスタンブールでトプカプ宮殿やアヤソフィアのモザイクを見る機会を得、「ひょっとすると私はかなりのモザイク好きなのではないか」と思い 至った。そうなると、思いっきり見られる究極の場所が世界のどこにあるのか、気になって仕方がなくなった。わざわざモザイクを見に旅をしてみたい、と思う ようになった。
 本書は、突然(というかようやく)モザイクを意識するようになった私の欲求に、ほぼ100%応えてくれる本である。
 モ ザイク大国イタリア、スペインはもちろんのこと、ロシア、ハンガリー、トルコ、イスラエル、チュニジア、イラン、アフガニスタン、ウズベキスタン、タイ、 果てはニューヨークの地下鉄駅まで、「わざわざ見に行くべきモザイクポイント」を網羅している。こうしてみると、いかにモザイクが古代より世界中で愛さ れ、人々の手でこつこつと仕上げられ、時の権力者や広く一般の人々の目を楽しませてきたかがわかる。ヘレニズム時代に花開き、イスラム文化圏に受容され、 ガウディも表現手段として使ったモザイク。さて、まずどの場所から攻めようか。本書を片手に、新しい旅のプランを練り始めることにする。
    ◇
 パイ インターナショナル・1890円

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著者:---/ 出版社:パイインターナショナル/ 価格:¥1,890/ 発売時期: 2013年08月

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