[掲載]2011年10月30日 [ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝
昨年亡くなった私(わたくし)小説作家に関する評論集。書名は、東京で生きる東北人の孤独を描いた短編「楕円(だえん)形の故郷」にちなむ。三浦は東京で 暮らしながら、故郷の東北・南部地方に絶えず目を向け、北の人たちの悲しみをみつめた。東北と東京という二つの定点をもつ楕円形が三浦の文学世界、と著者 は考える。
逆接の接続詞への言及も興味深い。「忍ぶ川」などごく初期の作品を除けば、三浦は強い拒絶を示す「しかし」を使わず、やわらかな「け れども」を使った。転換したのは、きょうだいを自死や失踪で失った三浦が滅びの血を受け入れ、正面から向きあう決意を固めた時期。人間味に満ちた文体の原 点がここにある。
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青弓社・2730円
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著者:深谷考 出版社:青弓社 価格:¥2,730
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