「何十歩も前進」「仲間亡くなった」 原爆症訴訟で調印
最初の提訴から約6年4カ月。原爆症認定集団訴訟を終結させるとした確認書に、広島原爆の日の6日、麻生首相と被爆者側が署名した。「完璧(かんぺき)ではないが、何十歩もの前進だ」。原告・弁護団らは、こう評価した。
広島市中区のホテルで、306人の原告を代表して日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の坪井直(すなお)代表委員(84)と田中熙巳(てるみ)事 務局長が、麻生首相、舛添厚生労働相との調印式に臨み、互いに文書にサインした後、握手を交わした。坪井代表委員が笑顔で「ご決断ありがとうございまし た」と声をかけると、首相は小声で「ご苦労さま」。終了後、坪井代表委員は記者団に「これで不安だった被爆者が安心できる。何十歩も進んだ。人間のするこ とですから百%の完璧はない」と声を弾ませた。
原告らも調印式を見守った。30代から4度のがんを患ってきた広島原告団の大江賀美子さん(80)は、他の原告や支援者から「おめでとうございま す」と声をかけられ、涙をみせた。広島原告団64人を束ねてきた玉本晴英・副団長(79)は「この6年で多くの仲間が亡くなったことは大きな悲劇だ」と口 元を引き締めた。
続いて開かれた「被爆者代表から要望を聞く会」では、麻生首相が冒頭、「これまで困難を乗り越えて見事に広島を復興させた皆様に敬意を表します」と述べた。
調印式後、全国原告団・弁護団は広島市中区の広島弁護士会館で記者会見。日本被団協の田中事務局長は「原告が自分のプライバシーをすべてさらけ出 し、被爆による病気や生活、心の苦しみを裁判に訴えたことで、国が原爆被害を過小評価していた実態が明らかになり、2度にわたる認定基準の改定を勝ち取れ た」との談話を発表した。
長崎の被爆者で全国原告団長の山本英典さんは「人生に悔いのない闘いができた」と語った。
今回の調印式では、放射線の影響を狭くとらえる認定行政や裁判が長期化したことについて、麻生首相や舛添厚労相から謝罪はなかった。被爆者側が求 めていたことだが、これについて全国弁護団の宮原哲朗事務局長は「官房長官談話に『陳謝』の言葉が明確に入っている。この言葉は今日の確認書を貫くものだ と受け止めている」と説明した。
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