2009年9月11日金曜日

mainichi shasetsu 20090911

社説:千葉県不正経理 「またか」を繰り返すな

 千葉県庁で、不正経理が繰り返され、07年度までの5年間の額が約30億円に上ることがわかった。またか、という思いである。自治体の不正経理 は、06年に岐阜、長崎両県、07年に宮崎県、08年には会計検査院の調査で12道府県で発覚している。千葉県の場合は、これらの自治体の不正経理額を大 きく上回る規模である。

 千葉県の調査では、県庁内の96%の部署で不正が見つかり、県警も含まれていた。手口は、事務機器などの納入業者に架空請求書を出させ、県費を振 り込んで業者に管理させる「預け」が最も多く、7割弱を占めた。過去の不正経理で多用された「伝統的手法」である。私的流用の疑いのあるものも約4%あっ たという。

 県組織のモラルの低下は目を覆うばかりである。関係者の処分や県幹部への返還要求、千葉県が発表した新たな監察組織の検討は当然だが、さらに問題点を提起しておきたい。

 まず、現行の監査制度でなぜ不正が見過ごされてきたのかという問題だ。千葉県の場合、職員の詐欺事件が調査のきっかけであり、監査制度の機能が発揮されたとは言い難い。

 一般に自治体の監査は、内部の監査委員監査と、弁護士や公認会計士、税理士らによる外部監査人監査の2種類がある。後者は、内部監査では自治体組 織からの独立性に問題があり、不正を防止するには「外部の目」が必要だとの考えで、改正地方自治法により1998年に導入され、都道府県や政令市などに義 務づけられている。行財政運営について包括的に監査することができ、今回のような不正経理も本来、対象となる。

 しかし、監査のテーマ選定は外部監査委員に任されており、千葉県の場合、今回の不正経理が監査対象になったことはないという。近年、多くの自治体 で「預け」が横行し、摘発されているのに、監査対象とする議論はなかったのだろうか。外部監査制度が機能しなかったと言われても仕方ない。制度の趣旨を徹 底するための検討が必要だろう。

 問題なのは、千葉県などの例が「氷山の一角」と言われていることである。他の都道府県においても、外部監査制度が千葉県と同様な監査にとどまって いれば、不正経理の全ぼうを見抜くのは難しい。各都道府県の外部監査委員は、他県で判明した不正などに留意して監査テーマを選定し、監査に臨んでもらいた い。

 自治体の不正経理が後を絶たないのは深刻である。「地域主権」を掲げる民主党の政権が発足する。ひも付き補助金が廃止され、地方が自由に使える一括交付金になれば、不正の口実もなくなるだろう。しかし、何より大事なのは公務員の自覚であることを強く認識すべきである。

毎日新聞 2009年9月11日 0時06分(最終更新 9月11日 1時16分)




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