創価学会 [著]島田裕巳
[掲載]2009年8月2日
- [評者]佐々木俊尚(ジャーナリスト)
■非寛容な「隣人」たちの実像
信徒向けに称賛した書物ではなく、「創価学会批判本」でもなく、ごく冷静な筆致で客観的に巨大教団の実態を描いた本書がこのように読まれていることを、もっと重要視しなければならない。
著者の島田裕巳氏は01年の段階で創価学会の信徒数は1700万人強だったと推測しており、だとすれば国民の7人に1人が信者 という計算になる。実際、自分の知人に創価学会員が一人もいないという人は珍しいだろう。創価学会は遠い国の謎の教団などではなく、我々の以前からの隣人 なのだ。しかし隣人であるのにもかかわらず、その生活ぶりを我々はほとんど知らなかった。
このベストセラーによってようやく我々は隣人の生活をつぶさに知ることができるようになり、この組織は以前からそう受け止めら れているように外部に対して非寛容であるのは事実だが、内部の信者にとっては強固な相互扶助組織として人々の生活や精神を支えてきたということを知る。中 間共同体が喪失した現在の日本において、それは羨(うらや)ましくさえある。
高度成長時代に農村から切り離されて都市に流入してきた若者によりどころを与え、それによって創価学会は急成長してきた。いま 再び格差社会の中で、不安定な生活を強いられている人たちの受け皿となる可能性を創価学会は持っていると島田氏は説く。しかし中間共同体が宗教団体によっ て補完されるためには、非寛容の問題を避けては通れない。
あるいは信者たちの世代交代とともに、いずれは創価学会もコミュニティーとして成熟し、オープンなネットワークを構築していく のかもしれない。しかしそのオープン化が相互扶助組織としてのパワーを減衰させることになるのか、それとも新たな中間共同体のモデルを提示していくことに なるのか、我々は今後も注視していく必要があるだろう。
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21刷・9万3千部
- 創価学会 (新潮新書)
著者:島田 裕巳
出版社:新潮社 価格:¥ 714
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