キトラ壁画、「当面の間」石室外で保存 検討会正式決定
奈良県明日香村のキトラ古墳(特別史跡、7世紀末〜8世紀初め)の石室内からはぎ取られた極彩色の壁画について、有識者らでつくる文化庁の古墳壁画保存 活用検討会(座長=藤本強・東大名誉教授)は4日、「当面の間」との条件付きながら石室外での保存を認めることを正式に決めた。
「古墳と壁画は一体で残す」という大原則は崩さなかったが、現在の技術では石室に戻せる見通しはない。高松塚古墳(明日香村)の「飛鳥美人」などの国宝壁画は、石室を解体して石壁ごと取り出して修理を進めており、この保存方法をめぐる議論にも影響を与えそうだ。
検討会では、作業部会の保存技術ワーキンググループが「現在の技術では石室内に張り戻してかびの発生を抑えるのは難しい。当面の間、適切な施設で の保存管理が望ましい」と報告。委員からは「重要な遺跡で移築保存を認めると他にも影響が出る。将来は石室に戻す、という考えは残しておくべきだ」(猪熊 兼勝・京都橘大名誉教授)、「保存技術が確立した時、戻すかどうかを議論すればいい」(河上邦彦・神戸山手大教授)との発言があったが、反対意見は出な かった。
ただ、「当面の間」の解釈については「数年から数十年」「100年先でも200年先でもいい」と委員によって見解が分かれた。藤本座長は「壁画を 戻すことを断念するわけではないが、現在できないものを、やるというのは無理。将来、技術的に可能になれば検討することになるだろう」と話した。
一方の高松塚壁画について、文化庁は「修理後は古墳に戻す」との姿勢を変えていないが、キトラ壁画に比べて劣化がひどい。複数の専門家は「古墳に戻すのは難しく、キトラ壁画と同様に施設で保存管理するのが自然の流れ」と指摘する。
キトラ壁画はかびの発生などによる劣化で下地のしっくいが落ちる危険があったため、緊急措置として04年7月にはぎ取りを決定。石室内に描かれた「朱雀(す ざく)」「白虎(びゃっこ)」などの四神、十二支像、天文図については昨年11月までに作業を終え、現在は絵のない余白部分のはぎ取りが続いている。(渡 義人、編集委員・小滝ちひろ)
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