2009年1月7日水曜日

asahi shohyo 書評

マリリン・モンローの最期を知る男 [著]ミシェル・シュネデール

[掲載]2009年1月4日

  • [評者]多賀幹子(フリージャーナリスト)

■相互依存に陥った精神科医の存在

 アメリカの女優マリリン・モンローは、1962年8月に死亡した。謎の死を巡り多くの本が書かれ、自殺、他殺、事故死など諸説が流れた。

 しかし、彼女の最後の精神分析医ラルフ・グリーンスンに着目したものはほとんどなかった。著者はフランス人作家で、精神分析医。膨大な取材と調査を重ねて、マリリンの死にかかわる最重要人物に迫った。

 マリリンは3人の精神分析医を次々と解雇、4人目のグリーンスンが初めての男性医師だった。60年1月から始まったカウンセリングは週に1、2回だったのが、死の直前には1日に2、3回という狂気じみた回数に達する。

 2人は性関係をもたないまま、愛と隷属の相互依存に陥った。「私たちは死によってしか別れられない」とグリーンスンは打ち明けている。彼の同僚医師は「治療法によって人を殺せる」と推察したとある。

 著者は「フィクションだけが現実の手がかりを与える」と映画手法的なズームなどを効果的に採り入れ、マリリンの死への過程を鮮明に浮かびあがらせる。

 精神分析医という新しい視点は、まるでカルテを読むかのようなスリルにあふれている。

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長島良三訳

表紙画像

マリリン・モンローの最期を知る男

著者:ミシェル・シュネデール

出版社:河出書房新社   価格:¥ 2,940

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