2009年1月10日土曜日

asahi shohyo 書評

「自然に還る」を求める人々

2009年1月10日

書影墓石の下には眠らない

 死んだら墓石の下に眠る。

 そんな「常識」が、少し変わりつつあるようだ。

 遺骨を埋めてその上に植樹する「樹木葬」、山や海に散骨するなどの「自然葬」を望む人やそれらの方法を実際にとりいれた遺族や宗教家らをノンフィクションライターの黒田麻由子さんがルポし、朝日新書『墓石の下には眠らない』にまとめた。

 法律上、墓地を運営できるのは宗教法人か地方自治体に限られるが、同書によれば、樹木葬が可能な場所が岩手、東京、兵庫、鳥 取、山口など全国十数カ所にできているという。少子化で夫婦両方の家の墓を維持しにくい、都市へ移り住んだ人には故郷の先祖の墓が遠い、といった理由で従 来の石の墓が使いづらくなり、「死んで花や木に生まれ変わるという清新なイメージが支持されたのでは」(黒田さん)という。エコロジーブームの影響もあり そうだ。

 散骨も樹木葬同様、「自然に還(かえ)る」という発想で、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」などが推進してきた。本書は、紀伊水道で散骨された社会学者の鶴見和子さん(06年死去)の遺志と遺族の思いを取材している。

 筆者の黒田さんは「私たちは死にゆく存在ではありますが、死後もいろいろなものとつながって、その成長に力を貸せるのでは」と語る。

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