2009年10月5日月曜日

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EU:アイルランドのリスボン条約批准 焦点はチェコへ

 【ダブリン福島良典、ワルシャワ中尾卓司】アイルランドが3日開票の国民投票で欧州連合(EU、加盟27カ国)の新基本条約「リスボン条約」を批 准したことを受け、次の焦点は批准書への署名を渋るクラウス・チェコ大統領の動向に移った。署名すれば事実上、その時点で条約発効が決まる。加盟国間で は、年内発効も視野に、新設の「EU大統領」や「外相」ポストを巡る駆け引きが本格化している。

 ◇チェコ説得工作

 現在、批准手続きが終了していないのは、大統領による批准書署名が済んでいないポーランドとチェコだ。ポーランドのカチンスキ大統領は「遅滞なく」(大統領府)署名する予定で、発効への「最後のハードル」はEUに批判的な欧州懐疑派のクラウス大統領だ。

 チェコでは9月、上院議員グループが憲法裁判所に「リスボン条約は違憲」と申し立てた。大統領は裁判所の判断が出るまで署名を待つ構えだ。EU議 長国スウェーデンのラインフェルト首相とバローゾ欧州委員長は7日、チェコのフィシェル首相とブリュッセルで会談、条約早期発効を確認する見通しだ。

 チェコ国内では、クラウス大統領が全面的に支持されているわけでない。野党は「大統領のわがままが国益を損なう」と批判し、フィシェル首相は「署 名引き延ばしはチェコの立場を悪くする」と困惑を隠さない。今年5月にトポラーネク前政権を引き継いだフィシェル政権は暫定内閣の性格が強く、大統領を説 得する力に欠ける。

 ◇ブレア大統領に異論

 スウェーデンは条約発効を前提に「EU大統領」の人選を今月中に終わらせたい考えだ。候補のうち「EUの顔」として群を抜くのはブレア前英首相 (56)だ。英紙タイムズによると、他候補を推していたサルコジ仏大統領と、メルケル独首相がブレア氏の受け入れに傾きつつあるという。

 ブレア氏の最大の弱点はイラク戦争に参戦したことだ。欧州には苦い記憶が残っており、英国が非ユーロ圏である点もマイナスに働く可能性もある。リスボン条約に反対する英野党・保守党の一部議員も「ブレア大統領誕生阻止」を叫ぶ。

 欧州メディアでは、他候補としてリッポネン元フィンランド首相(68)、バルケネンデ・オランダ首相(53)、ユンケル・ルクセンブルク首相(54)、ゴンサレス元スペイン首相(67)らの名前も取りざたされている。

毎日新聞 2009年10月4日 20時25分(最終更新 10月4日 21時43分)



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