2009年10月7日水曜日

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ひと:角野栄子さん 「魔女の宅急便」が6巻で完結の作家

角野栄子さん
角野栄子さん

 少女キキがほうきにまたがり空を舞う。児童書「魔女の宅急便」(福音館)はアニメにもなり、世代を超えて愛されている。第1巻は24年前に出版さ れ、キキとともに読者も成長した。その物語が第6巻で完結する。「『完』と書いたときはさびしかった。でも終わりは始まりです。一人一人の読者が物語を続 けていってくれるでしょう」

 1巻では、キキが13歳で魔女として独り立ちの旅に出た。最終巻では13歳の双子の母になり、旅立ちする子への対応に悩む。完結を惜しむ声が多い。「年も年だし書けるうちに物語を終わらせておきたかった」。キキとの歩みが何より楽しかったという。

 「13歳から人生を生き直し、書きながらキキと一緒に空を飛んでいました」

 キキを娘のように思う「母の目線」、キキが母を慕う「娘の目線」が物語にある。それは自身の投影にも思える。

 5歳で母を亡くした。母への思慕はせつなく、強い。「つらいことでしたが、想像する心を残してくれました」

 恋の悩み、仕事の失敗−−。キキは魔法ではなく真心で難局と向き合った。「魔法が(飛べること)一つだからこそ簡単には解決できず、書くのが面白かった。人はだれでも一つの魔法を持っている」

 魔法は小さくても、自慢できなくてもいい。支えになれば幸せだと思う。35歳から執筆し、いやだと思ったことがない。キキを生んだ作者の魔法は書き続けることなのだろうか。【木村葉子】

 【略歴】かどの・えいこ 「魔女の宅急便」は中学生だった長女の絵に着想を得た。完結する6巻は7日発売。74歳。





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